嘘だらけの秘密


翌日。


戸波さんのおかげで乗り切れた。

嬉しかったから。
話してすっきりしたから。

どちらか分からなかったけど、
尋常でないくらいのバイタリティに満ち溢れていた。

お客さん相手にガンガン話をして、ニコニコ笑いまくった。

楽しそうにお客さんをアテンドすることが戸波さんへのお礼に繋がると思っていたのもあるし、
実際メンタル全然弱っていなかったので、余裕やった。



しかし、いい加減体力はやばかったとみて、

終わったあと同期と飲みにいったらいつにも増して酔いが回り、べろべろになった。

しんどすぎやったので、早いとこ部屋にもどった。


22時。戸波さんはまだ飲んどるんやろか。


たぶん飲んどるんやろうなぁ。
でも、ゆっくり話せるのなんてこの会期中くらいやろうし。

そう思って、着信を一本だけ入れた。


掛かって来んかもしれん。
いや、掛かって来んと思ったほうがいい。


そう考えたのもつかの間、酔いまくっていたので速攻眠りに落ちた。












ブーッ、ブーッ、、ブーッ!!!



でかいバイブ音で飛び起きた。










ディスプレイに戸波さんの名前。

寝ぼけながらも慌ててボタンを押し、ケータイを耳にあてた。


はいぃ、、もしもし……


あはは。もしもし?寝とったん?



ん、ちょっと……



やったら切ろか?笑


あ、いやダメ!ダメです!



……なんの電話やった?



…ご褒美。ご褒美くださいよ。
今日も一日がんばったもん。



…ええよ。どこであげたらいい?



そんなん、わかりません……


それじゃあかんやん。あげられんよ?



やだ。ほしい。頑張りましたよ今日。




…………せやな。分かった。俺の部屋きて。
部屋番言うから覚えてや。間違ってもほかの人のとこ叩いたらあかんで。
いい?○○○やで。


……はい。○○○。


そう。○○○ね。ちゃんと見られてないか確認してから来るんやで。誰かおったら1回引き返すこと。分かった?


わかりました、行きます。


うん。待ってるから。




こうして23時頃、わたしはついに戸波さんの部屋に行くことになった。


結論としては、コトをしてしまってはいないのだけど。


決定的な1歩を踏み出すために、部屋に行った。それは紛れもない事実やった。
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