最恐ドクターの手懐けかた II
夕方、遠藤先生が何食わぬ顔で帰ってきた。
この変態はみどりちゃんの出産を見たんだ。
そう思って動揺していたのは私だけらしい。
「あぁ、みどりは帝王切開にならなかったぞ。
胎盤が上がって経膣分娩だ」
病棟にいる時のように淡々と話した。
そんな遠藤先生に聞いてしまう。
「興奮しなかったんですか?」
「……は?正常分娩だろ?
なんで興奮しないといけねぇんだ」
あぁそうか。
遠藤先生はいつも通りに仕事をしたんだ。
そう思うとなんだかホッとした。
柊君が心配するように、みどりちゃんを変な目で見ていないようで安心した。