ホワイトデーにおくるのは。
キーン、コーン、カーン、コーン……。


次の日の放課後、俺は隣の教室まで行って甘奈に会いにいくことにした。

幸いドアの近くの席にいて、すぐに会えた。


「あのさ、甘奈。今日一緒に帰らない?」

「いいけど、どうしたの?」

「あとで話すよ、さぁ、行こう」


俺が急かすと、甘奈は「しょうがないなぁ」とつぶやきながら、鞄に教科書や文房具を入れた。

校門を出て二人並んで歩く。

こうやって一緒に帰るのは、三月は初めてだな。


「なぁ、甘奈」


俺がもじもじしながら切り出すと、甘奈は頭の上にはてなを浮かべた表情で「なに?」と尋ねてきた。


「その、俺にくれたチョコ、ガトーショコラなんだけどさ……」

「もう。もったいぶらないで早く言ってよ」

「ホワイトデーに、俺と一緒に作らないか?」

練りに練った挙げ句、至った心もとない結論を述べた。

なんだろう。

国語の授業で黒板の前に立ち、要約問題を解いて書くより恥ずかしい。

この回答、合っているかな。

そんな面持ちで甘奈の返答を待つ。


「いいけど……」


逆接を示す接続詞が付いたが、いい、という答えをもらえた。

考え込む甘奈をよそに、つかの間の喜びと安心にひたった。

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