教えて、空の色を
え?は?

ビックリして慌てて外に出て通りまで駆けて行くと
紗由理が通りでタクシーを拾う所だった

なんで逃げ出すんだよ……
よく分からない

「紗由理!」

オレの声にビクっと身体を震わせたけれど
そのまま紗由理はタクシーで行ってしまった……

(は?なんなんだよ……)

とは思ったけれど心配で急いでパン屋まで走る

二度目かよ!!

とは思ったけれど、紗由理の身に何かあったら困る

何よりアイツを好きだって思っちまったから
もう止められない




パン屋まで着くと既に2階にいるらしくて灯りが洩れている

そこで下から電話をかけた

長い呼び出し音のあと
躊躇いがちな紗由理の声がした

『あの……大丈夫だから…』

「何が」

『一人で大丈夫だから…もう仕事以外で掛けてこないでくださ…』

「大丈夫じゃないんだけど?」

『え?』

「オレが大丈夫じゃねーっつってんの!!顔見せろよ紗由理」

『かお?』

オレは灯りのついてる部屋の真下で叫んだ

「ここにいる!」

『え、あ…』

やっと気付いたのか慌てて窓を開けた紗由理は

シッと指を唇に充てた

『か、帰ってください!近所迷惑ですから!』

「やだね」

そこまで言うと通話を切った

降りてこいよ

と唇に乗せると……目を伏せた紗由理が今度はメールをしてきた

「もう会いません…帰ってください」

頑固め………

「会わないと帰りません、降りてこいよ」

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