教えて、空の色を
イケメンパン職人が上がって隣の家に帰ったらしい

「あんたは?帰んないの?兄弟だろ?」

「うん、お兄ちゃんは結婚してるから…私はこの上に住んでるの」

紗由理は少し淋しげに呟いた

「嫁と仲悪いんか?」

「違う違う、すっごく可愛くて優しいお義姉さんなの…好きだから逆に邪魔したり二人に仕事以外では甘えたくなくて…」

「ほーん…ま、あんたがいいならソレでいーけど、…ってこれウマイ」

出されたパンは間に甘さ控えめのチーズクリームが入っていてとてもふわふわした美味しいパンだった

「わ!よかった!じゃあ……引受けてくれる?」

目の前に座った紗由理は探るようにこちらを下から見上げるようにして見たから……

ポンポンと頭をたたいてやる


「あんた可愛いし、パンもウマイからやってやるよ…その代わり…」

「代わり…?」

冗談でも言って口説こうとしたのに
あまりに不安そうに瞳を揺らすから……


オレは余計なことは言わないことにした

「作業中はさ?パン食わしてよたまに…」

(これなら…ヘーキだろ?)

「はい!喜んで!」

紗由理は可愛らしく微笑むから…その笑顔に

不覚にもいつも、女引っ掛けて遊んでるオレなのに

似合わないくらいドキッとしてしまった……








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