名無しの女
名無しの女


「ゆきー」


煙草をくわえ、焼酎を片手に彼が呼ぶ。

不摂生の塊な彼にあたしは眉間にシワを寄せつつだから、と口を開いた。


「あたしの名前はゆづき!どこの女と間違えてるの」


何度目かわからないやりとりでも彼は、ハハッと笑った。

毎度飽きずに笑う彼のツボはどこにあるのだろうか、探してみたくなる。


「いいじゃん、ゆきでー」


酒臭い息が口から吐き出された。

話し方がゆるいのは酒がだいぶきてるのだろうか


……そろそろ取り上げた方が良さそうだ


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