名無しの女
ああ、これは罰だ
彼を傷つけようとしたあたしへの
あたしが傷つく資格はない
「………じゃあこんな浮気相手のとこに来ないの!」
「えーだめ。あいつが浮気するなら俺もする」
「子供っぽいのね」
「少年の心を持ってるからねー」
馬鹿話をしつつ片付けを終え彼が玄関で靴を履く
「でも」
彼が振り返る
───────彼が今日、明らかにいつもより飲んでいた理由が分かった気がした
耳を塞ごうか、迷うあたしに彼は告げる