絆創膏
そんな特徴で彼が検討付けるなんてことはもちろん無理で、普通の会話を楽しんでいた。

会話ベタな私からもスルスルと言葉を引き出す彼はやはりプロだ。

でもやはり、席に着いた時初めに名乗ってくれていたであろう彼の名前は忘れた。


時間を忘れて何杯目かのオレンジジュースを飲み干した頃、店のドアが開いた。


人通りは多く、それはまでは一切気にしていなかったのに、釘付けになった。


「あ、あの人…」

私が目を離せないでそう呟くと、金髪ホストは今日一人間らしい表情をした。

造られた表情ではなく、心の奥底から驚いたような。


「この店の店長だよ」


…こんな運命的なことがあっていいのだろうか。


一週間会いたいと願い続けた彼を、見つけた。
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