浮気の定理-Answer-
心配してるんだと思わせるために、昨夜から何度も桃子の携帯に電話をかけた。


もちろん、桃子はその電話にでることなく、留守番電話に切り替わるだけだったけれど……


店も休むことにして、俺はひたすら桃子を待った。


その間に他の従業員へ店を休むと連絡をする。


最後に紗英に電話をして、店に臨時休業の紙を貼っておいてくれるよう頼んだ。


「え?今日はお休みなんですか?

何かあったんですか?店長ぉ」


いつもの鼻にかかった甘えた声で、俺の様子を探る紗英。


今回の計画は、もちろん紗英には話していない。


もし、失敗した場合を考えれば、リスクは最小限に留めるべきだろう。


まだこの計画は序盤で、じっくりと時間をかけて離婚に持ち込む予定だからだ。


変に期待させて、急かされたりするのも面倒だった。




「いや、何もないよ?

それより今夜、そっち行くよ」



「ほんとですか!嬉しい!待ってます!」




こういう素直な反応が、可愛くて仕方ない。


これからは桃子を抱くこともなくなるわけだから、今までの分も紗英を悦ばせてやろう。


そんな風に思えた。
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