浮気の定理-Answer-
それでも涼子さえ俺の言うことを聞いていれば安心できた。


彼女も俺を愛してるんだとわかれば、花にも優しくできた。


現に花は俺によくなついていたし、今までは反抗することなどなかったのだ。


幼稚園なんかに入れなければ、こんなことにならなかったのかもしれないと思う。


涼子のように家の中にずっと閉じ込めておけば、余計な知識など入る余地もなかっただろう。


けれどもう遅いのだ。


俺だけを見ていた花ではなくなってしまった。


涼子の射るような目が、俺に突き刺さる。


これ以上は無理なんだと悟った。


いくら俺が二人にお仕置きを加えたとしても、花に手を上げれば涼子が離れていく。


それだけはわかったから……




「……わかった、約束しよう

もういい……」




そう言ってリビングから出ていくしかなかった。


もしかしたら、俺は大変な間違いを犯したのかもしれない。


廊下の壁に背中をつけてがっくりと項垂れる。


いや……


俺は頭を振りながら、必死にそれを否定した。
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