浮気の定理-Answer-
長谷川の場合④


玄関に入ると、その違和感にすぐ気がついた。


暗闇の廊下の先も闇が広がっている。


まただ。最初はそう思った。


俺より先になぜ帰れないんだと……


けれどふと考える。


前回の女子会から1ヶ月経っただろうか?


月に一度、四人で集まり映画を見てランチをするという集まりは、つい最近だった気がする。


おまけにその日は必ず同じメニューがテーブルに乗るはずなのに、その香りさえしてこない。


嫌な、予感がした。


心臓がドクリといつもよりも大きな音を立てる。


慌てて電気をつけると、廊下のその先のいつも閉まっているはずのリビングのドアが開いていた。


涼子は俺がドアを開けっぱなしにすることを嫌うのを知っている。


だから一度注意してからは、出掛けるときでも必ず閉めるのが当たり前になっていた。


なのにそれが開いている。


俺は靴を揃えるのも忘れて、廊下の奥へと進んだ。


闇に対峙する恐怖はもちろんあったけれど、それ以上に感じる胸騒ぎ。


開いたドアからスイッチがあるはずの壁をまさぐると、ピッと音がして瞬時に辺りが明るくなった。

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