浮気の定理-Answer-
それでも帰らなければならなくなったのは、あの男のせい。


木下桃子を陥れる計画は成功したかに見えたが、最後の最後で覆され、俺は自分を守るためにあいつの夫が黒幕であることを暴露したのだ。


金はすでに手に入れていたし、消費者金融から借りていた30万はすでに返済していた。


あのままだと膨れ上がる一方だった借金が帳消しになったことで、俺は気が大きくなっていたのかもしれない。


ボロ雑巾のように捨てられた木下桃子を、もしかしたら手に入れられるんじゃないかと勘違いしたのだ。


あの画像さえあれば好きなように出来る。


最初は脅しだったとしても、そういう関係になって俺が優しく接すればあるいはつきあったりも出来るんじゃないかと。


自分のあんな姿を、俺ともしかしたら一夜を共にしたかもしれないという事実を、プライドの高い木下が誰かに話すわけがないと高を括っていたのかもしれない。


それが崩れ始めたのは、同僚の山本の存在だった。


あいつが仕事が終わると必ず木下を家まで送るようになったのは、いつの頃からだったろう?


俺はどこかで木下が一人になるのを狙ってあとをつけていた。


ときどき、二人で飲みに行ったりしながら、それでも山本は最後まで木下を家の前まで送り届けていた。
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