浮気の定理－Answer－
いろんな夫婦の形があるとはいえ、どこの夫婦にも問題はあるわけで、だからうちが特別なわけじゃない。


それにうちは離婚せず、なんとか持ちこたえて今では仲良くやっていて、子供たちが大きくなればなるほど夫婦の存在が色濃くなっていくのがわかる。



子育てはあっという間なのだ。


幼い子供を育てているあの大変な時期が一生続くような錯覚に陥って、手伝ってくれない夫に不満を抱くことも、女でいる自分を取り戻したいと思うこともあるだろう。


でも、子供たちは確実に成長して親の手から離れていく。


そうなったときにはじめて、一番可愛くて楽しい時間を手伝わなかった夫は、妻には煙たがられ子供にも相手にされない父親に成り下がり、家族として取り戻せないなにかを失っていたことに気づくのだ。


俺も１歩間違えばそうなっていたわけで、皮肉にもそれに気づかせてくれたのはありさの浮気があったからなんだけれど、それでもあのままだったら桃ちゃんや涼ちゃんのように離婚されていたのかもしれないと思うと、ときどき怖くなる。


だから、戒めなのだ。


最初は子供のために戻ってきてくれたのかもしれないと思ったけれど、ありさは俺のことを好きでいてくれる。
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