浮気の定理-Answer-
それはうぬぼれでもなんでもなくて、長年一緒にいたからわかる俺の直感だ。


中学からの腐れ縁がそう簡単に崩せるもんかと、勝手に思っている自分がいる。



隣に座るありさの肩をそっと抱き寄せると、彼女もまた自然に俺の肩に頭を乗せてくる。



髪をそっと撫でながら、ゆっくり顔を近づけると、ありさの目が閉じた。



そのままそっと唇に触れると愛おしさが溢れ出す。




「ありさ……好きだよ」




思わず口に出して言ってしまうと、ありさが驚いたように目をパチっと開けた。




「なに?どうしたの?」



「どうしたってことないだろ?思ったこと言っただけだし」



「ええ!怪しい!お小遣いが足りないとか、そういう話なんじゃなくて?」



「失礼なやつだな!違うわ!」




ふたりで笑い合いながら、そんななんでもない会話を楽しむ。


きっとありさは照れたのだ。


それも分かってる。




「じゃあ、そろそろ寝ますか?明日も早起きして映画だし?」



「そうだな、そうするか」



揃って立ち上がり飲み終えたコーヒーカップをシンクに戻すと、ありさがふいに後ろから飛びついてきた。



「私も、和也のこと大好きだよ?」




ふいうちにふいうちで返されるとはこのことだ。


普段はパパって言うくせに、わざと名前で呼ぶとか反則だろ?


言い逃げしてそのまま寝室に走るありさの後ろを追いかけながら、この幸せがずっと続きますようにと願った。






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