浮気の定理-Answer-
「写真はどうすればいい?」


証拠として残すのなら、この男に送るなり手渡すなりするんだと思っていた。


けれど、男はそれはしなくていいと言う。


「それをネタに脅してくれればいい

もしかしたら、眠っている桃子じゃない状態で、またいい思いを出来るかもしれないですよ?」


――こいつ、最低だな……


こんなことを引き受けておいて、俺が言えた義理じゃないが、木下も見る目がなかったなと思う。


「とりあえず、桃子の状態を見て、成功だと思えば報酬はあなたの口座に振り込みます

とにかく追い詰めて、僕の浮気もお互い様だと思わせたいので」


「わかった……

でも、後から振り込まれるかどうか保証がないと困りますよ

逃げられたら、俺だけが損するじゃないですか?」


「損……ですか……

裏切るつもりはないですが、ずっと恋い焦がれていた相手を自分のものに出来るんですよ?

損てことはないと思いますけどね?」


不敵な笑みを浮かべて、男は挑戦的な物言いでそう言った。


「実行するのは俺ですよ?

あなたはただ金を払って、俺が木下を犯すのを黙って待ってるだけでしょう?

リスクが高いのは俺の方だと思いますけどね?」
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