舞桜
空が、月が、自然が美しいのも、知らない。
人の優しさも。

意味もなく過ごすうたかたの日々。

訳のない肩書きを背負って。

大きな邸に閉じ込められて。

頼りのものも、ああ、誰が奪ってゆくのかしら。

今宵も、私は、この冷たい邸で、悲しいぐらいに美しい、漏れる月の光に照らされて。

嗚呼、またため息を付いているのは、何故なのか?

全てを奪われた、悲しみなの?

ならば、私には、何があるのだろうか。
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