春恋
さかのぼること数時間前。
いつも通りのHRを終わらせて、「一時間目は古典だあああああ」なんて騒ぐクラスのやつらを横目に俺は準備をしていた。
古典の担当の先生は「鬼のさとせん」こと佐藤先生なのだ。
でも俺は、春は桜を見て過ごしていればあっという間だし、割と嫌いじゃない。
いつも通り、五分前にピシッと着席しいつさとせんがきても大丈夫なようにみんな準備する。
授業開始1分前。
ガラッと音を響かせて入ってきたのは、「春」のような雰囲気をまとった軽やかな人だった。