春恋
身体の中心から湧き上がるような熱と、心臓のバクバクが止まらない。
何も耳にはいてこないような状況で、俺は彼女だけを目で追っていた。
彼女の声だけは。俺の耳にすっとはいってくる。
「わたしは、ロマンチックなものがすきなんです。みなさんが手を付けにくい、わかりにくいと思っているかもしれない古典にも、胸をきゅんとさせてくれるような物語がたくさんあるんですよ」
「そうですね・・・たとえば・・・・・・・・