俺様アイドルはオタクなんです・・・

最終日

彩実『ねえ・・・本当にもう会社にこないんだよね?』


最後の業務を終えて彩実と二人でプチ送別会。


友梨奈『うんうん・・・いい機会だったから・・・』


彩実が頬杖をついてゆっくりワイングラスを口に運んでいる。


彩実『そのさ、おじさんの仕事・・・大丈夫なの?』


彩実にはいちお、正直に一通り仕事内容について話をしていた。


友梨奈『う~ん・・・不安もあるけどさ、でも、どんな仕事もやってみないとわからないでしょ?』


彩実『それはそうだけど・・・もしかしたら、そのアイドルと付き合ったりしてね~』


友梨奈『冗談きついよ~ないでしょ(笑)アイドルと付き合うなんて・・・あくまでも仕事だからね』


そんな強がりを言っていたけど心のどこかでは・・・


そんなことあったらいいな・・・


なんて憧れにも似た気持ちがあった。


それは自分の心の中でだけ閉まっておこう・・・っと。


彩実がハイペースで呑んで酔いつぶれてしまい


彼氏に連絡して連れて帰ってもらった。


その帰り道・・・


一人でゆっくり会社から家までの道を歩く。


もう・・・こうやって一人で歩くことはないんだろうな・・・


寂しく夜の空を見上げて


悲しくなることなんてなくなるんだろうな・・・


友梨奈『もう・・・振り返らないからね・・・』


そう呟いて家に着き


会社からのものを整理する。


明日からはおじさんの芸能事務所に行き


さっそく、アイドルとの仕事が始まる。


明日からは、動きやすいけどちょっときちんとした服装でくるように


おじさんから言われていた。


今度はきっとパンツスタイルが多くなるんだろうな。


ますます女子力なくなるのかな・・・


なんて思いながら会社員時代のスーツをクローゼットの奥にしまいこむ。


退職する日までも私はパソコンでいろいろ彼らのことを検索し続けた。


彼らの曲やコンサートのDVDまで


韓国からネットで取り寄せたし。


別に、これから嫌というほど目にするのに


まあ・・・勉強という名目で


夜な夜な、私はDVDを見て研究というか癒されてもいた。


そんなふうにしていたらこの画面に映し出される人たちと


一緒に仕事なんて私には大丈夫・・・?


なんて不安にってしまうときもあった。


もうすでにファン目線になっている私・・・


やっぱり気になるのは


ユン・ジュノ・・・・


あの綺麗な顔立ちの人。


でも・・・コンサートの映像を見ていると


彼は正直・・・イメージとは違った。


あんなにイケメンなのに


あれやこれやとおもしろいことを企んで


ファンやメンバーにイタズラをして


おもしろくしようとする一面も見えた。


それはサービス精神が素晴らしいってことなのかも


と前向きに考えていた。


そして・・・


私はとうとう、明日、彼に会える。


今日もドキドキして眠れなさそうだった。


私の担当はいったい誰なんだろう?


それもドキドキする要因でもあった。


女子力は自信ないけれど・・・


明日、少しでも女子に見えるように


できる限りのオシャレはしていかないとな。


それもマナーのうちだよね。


明日、着ていく服をクローゼットの手間にかけておいて


ベッドの脇においてあるイオンスチームの美容器具を


顔にあてるように眠る。


これ・・・彩実からの誕生日祝い。


あ・・・彩実の彼氏かっこよかったな・・・


あんな彼氏と付き合えたら


そりゃ、幸せオーラでるわ!


私にもあんなイケメンの彼氏できたら


ひっくり返るように女子力でて


キラキラオーラもでてくるのかな・・・


25歳っていういい年齢だし・・・


そろそろ・・・


でも・・・心の奥には


元カレとのトラウマができているんだろうな・・・


あんなに幸せで楽しかったのに・・・


一人で行く韓国があんなにも楽しかったのは


彼がいてくれたからだと思う。


ねえ・・・


ジフン・・・・


もう・・・私はあなたの心の奥底・・・


どこにも存在してないよね?


私はなかなか忘れられずにいるよ・・・


クローゼットの奥には


今でもジフンからもらったものがたくさんしまいこんである。


それは・・・まだ彼のことが好きっていう気持ちが残っているからだと思う。


まだ・・・忘れられないよ・・・・



ーーーーーーー



いつの間にか私は眠りに落ちていた・・・



夢で・・・・



ジフン『友梨奈・・・・愛してる・・・・』



久々に聞こえる韓国語。


友梨奈『ジフン・・・それ・・・本当?私はずっとジフンのこと好きなままだったよ・・・』


呟くようにそう伝えると


ジフンの影はすっと消えてなくなる・・・


友梨奈『ウソ・・・ジフン!!!やだよ!!!行かないでよ~!!!』


大きな声で叫んでも


虚しく聞こえる・・・私の声・・・・


ガバっ!!!


起き上がると


友梨奈『はあ・・・はあ・・・・はあ・・・・』


息ができないくらいだった・・・・


友梨奈『夢・・・だよね・・・・』


久々にジフンとの夢を見て


そこから眠れなくなってしまった。






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