恋人期間0日


「奈々美。俺が気づかなければ、一人で産むつもりだったの?」
彼の責めるような口調に俯く。
「もう一度聞く。俺には責任取らせてくれないの?そんなに俺は頼りない?」
「違っ!!」
「なら、どうして。」
だって……
わたしとの子供なんて、
「迷惑でしょ?責任とか気にしなくていいから。」
あー、やばい。泣きそう。

「奈々美は、俺のことなんだと思ってるの?」
彼が複雑そうな顔をする。
「やるだけやって、責任もとらないような男?それとも、おろせって言われると思った?」

黙ってうつむく私に、彼がため息をつく。

「ほんとに、俺のことなんだと思ってるの?」
彼が立ち上がる気配がした。

「奈々美。」
優しい声と共にふわりと抱き締められる。
「俺はお前が、好きだよ。だから、奈々美も子供も、俺に守らせてくれる?」

う、そ

「ほんとに?」
「うん。不安にさせてごめん。」
「責任、とかじゃなくて?」
彼が、ぎゅっと抱き締める力を強くする。
「じゃなくて。好きじゃなきゃ抱かない。昔からずっと好きだった。」

うれしくて、涙が頬を伝っていく……

「奈々美も同じ気持ちだって思ってもいい?」
彼が優しく尋ねてくる。
「うん。亮が好き。」

涙と共に不安だった思いがとけて溢れてくる。

「亮が私を思ってくれてるって知らなかったから。
好きでもない相手と子供ができたなんて、迷惑だろうって。
でも、私は亮が好きだから産みたかったの。
ちゃんと伝えなくてごめんなさい。私、怖くて………」

泣きながら話す私に亮が優しく相槌をうつ。

「奈々美。不安だったのに、産むって決めてくれてありがとう。」
彼が一言、そう言った。
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