素直になれない
「ご心配おかけしてすみません……」


本当は、真柴にも話した内容を話せればよかったんだけどそういうわけにもいかない。


師長にその話をしても、逆に師長と日向先生の関係に影を落としてしまうとも限らないのだ。


それは、してはいけないこと。


勿論師長が私の話を聞いて、日向先生への態度変えるような、そんな浅はかな人物でないことは百も承知だけど。


「体調は悪くありません。ただ最近環境の変化があって……少し疲れていたのかもしれません。以後気をつけます」


「そう……。まぁ、あなたなら大丈夫だと思うけど、あまり1人で抱え込まないようにね」


深く追及されることもなく、師長は私を解放してくれた。


師長室を出て詰所に戻ろうと、廊下の角を曲がった時当直室の扉が開いて中から白衣姿の人が出てきた。


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