Secret answer ～キミノトリコ～

駅の改札を抜け、そんなことをぼんやり考えながら自宅までの帰路を歩いていた私は…背後から近づいてくる車のエンジン音でふと我に返った。

駅から自宅までの徒歩１０分のこの間に、初めて違和感を感じたのは１週間前ほど前。

誰かに見られているような気味の悪い感覚と、足音。
１回目は気のせいかと思っていたけれど…それには２回目があった。

数えたくもないけれど…勘違いでなければ、これが３回目。

駅から少し離れたここは、深夜の住宅地だ。こんな時間に車はあまり通らない。

え、今日は車とか…？

気分の良かったほろ酔いもすっかり冷めた私の頭は急激な恐怖にかられ、早足で歩みを進めた。
もう、すぐそこに自宅がある。

スマホを取り出そうと手だけで鞄の中を探るけれど、気が焦っているせいかなかなか見つからない。

もうなんで…さっきまで触ってたのに…！
泣きそうになってしまうのをこらえながら、必死で足を動かしていく。

そして息を切らしながら開いたエントランスの扉に足を踏み入れ、助かった…と思ったそのときだった。


「…茉優」

「キャー！！」


突如背後から聞こえた低い声に、私は両手で耳を塞いで思わずしゃがみ込んだ。