Secret answer ~キミノトリコ~

「落ち着いて。俺だから、奏」

…え?

聞こえたその声に、肩に触れる手を振り払おうと動かしかけた腕を止めた。
固く瞑っていた目を開くと、そこには心配そうな表情で私の顔を覗き込むそーちゃんの姿がある。

「あ…そーちゃん?」

驚きとほっとした気持ちとが混ざり合って、フリーズしてしまう。
すぐには状況が掴めずにようやく彼の名前だけを口にした私の様子に、目の前の瞳が戸惑って揺れた。

「えっと…大丈夫か?」
「うん…だ、だいじょ…」

頭では大丈夫だと言っているつもりなのに、なぜか途切れ途切れになってしまう。

「とりあえず場所変えよう。…立てるか?」
「…あ、うん」

気遣わし気にそっと私の肩に触れたそーちゃんの両手が、立ち上がろうとする身体を支えてくれる。

「あはは、情けない…ごめんね」
「気にする必要ないよ。もう大丈夫だから」

そう言って私を安心させるように微笑む彼の笑顔は、どこまでも優しくて暖かくて…頼もしく感じた。
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