偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「……ということは……次期会長にも代表権はあるとはいえ、水島親子より上條親子がトップを固めたってこと?」

そう訊いてから、稍もビールを呑みながら、三種盛りのタパスのうちの生ハムを食べる。

「いえいえいえ」沙知が首を振る。
箸で摘んだ三種盛りのタパスのうちのペンネアラビアータも、一緒にふるふる震えた。

「水島・上條・田中ラインで革命を起こしたも同然ですから。それに、この状況下で社内で派閥争いなんかやってたら、瞬く間に足を(すく)われて、株式公開買付(T O B)されて乗っ取られちゃいますよ」

……それもそうか。何のために、あんな凄まじいリストラになったのか、わかんなくなるよねぇ。

「だけど……これから、亜湖ちゃんもたいへんだね?今まで東京・大阪・名古屋の都市部だけだった大改革が全国展開するんでしょ?
……上條新副社長、ますます敵が増えるねぇ」

創業家の血筋でアメリカの名門コロンビア大学の経営学修士(M B A)を持つ御曹司とは彼のことである。
そして、経営企画本部長となった彼が、苛烈なリストラ案の「首謀者」であることは周知の事実だ。

稍は店員を呼び止めた。
生ビールのお代わりだ。沙知の分も頼む。

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