偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

すると、普段は憎らしいほど鉄仮面のあいつが、子どもの頃のように笑った。

いたずらっ子の少年の顔だ。

稍の顔が、突然、子どもが泣き出す寸前のように歪んだ。

「……稍」

智史が稍をふわりと抱き寄せた。
稍の耳元で(ささや)くように告げる。


「『偽装』とはいえ、この人生で、おれが結婚することになるのは、たぶん、おまえだけになるやろと思う……せやから」

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