偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「ややちゃんっ!」
大きな声がして、見上げると、そこに智史がいた。どうやら、無事だったようだ。ケガもないらしい。
「さとくんっ!」
稍は智史の元に駆け寄った。
智史はスウェットしか着ていなかった。
痩せた身体の彼は、寒さが得意ではない。
ぶるっ、と身を震わせた。吐く息が白い。
「さとくん、ややは家からブランケット持ってきたから、温いよ」
稍はマントのように巻いていたブランケットの中に智史を誘った。
「……ややちゃん、エラいなぁ。ぼくなんか、家から出るのだけで精いっぱいやったわ」
智史は稍のブランケットの中へ入ってきた。
「おかあさんに言われて持ってきとうだけや。
あっ、さとくん、めっちゃ冷たい……」
稍は智史の方に身を寄せてあげた。
「うん……ややちゃんは、めっちゃ温いなぁ」
そのときである。
一際、大きな揺れが起こった。
ブランケットの中の二人は、びっくりして思わず互いに抱きついた。
すると、大きな音がして、顔を上げると、目の前の並びの家が突然、次々と崩れはじめ、あとはあれよあれよという間にひしゃげていった。
二人は声もなく、呆然としたまま、ただその光景を見つめることしかできなかった。