偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
新幹線ホームに着いて、稍は辺りをきょろきょろと見回した。智史の姿はなかった。
……海外の工場のライン、ちゃんと止められたかなぁ。
稍は、不安と心細さで押し潰されそうな気持ちを紛らわせるように、キャリーバッグのハンドルを握る手にぎゅっ、と力を込めた。
そうこうしているうちに、稍と智史が乗るべき「のぞみ」がやってきた。
稍はホームに上がる階段の方を見遣る。
智史の姿は、まだ、ない。