偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「はあっ?……『よめ』?『よめ』って……」

放心状態になった山口の手を振り払って、稍は青山の後ろに隠れた。
MD課のほかのチームの人たちが、ようやく「異変」に気づいて、こちらを見始めた。

「あれ、あんな綺麗な子、うちの課にいたっけ?」と口々に言っている。

「おまえは大学も出てるのに『嫁』の意味も知らないのか?」

そう言って青山は稍の左手を取り、自分の左手と並べた。
中央がきゅっと細くなったデザインの、どう見ても結婚指輪にしか思えないシンプルなプラチナのペアリングが、二人とも薬指に収まっていた。

「えっ……うそっ……いつの間にっ⁉︎」

山口がようやく意味を「理解」できたのか、情けないほど悲痛な声をあげた。

「稍、大丈夫か?」

青山が稍の顔を覗き込む。
稍はこくっ、と肯いた。

「魚住課長に挨拶しに行くぞ」

そして、青山は「妻」をミーティングルームに(いざな)った。去っていく後ろ姿は、まさに「お似合いの夫婦」に見えた。

山口はその場で、ずるずるずる…と崩れ落ちた。

MD課の他チームのメンバーたちには、GW明けで気合の入らない心と身体(からだ)に「おもしろいものが見られたなー」と一気にパワーが(みなぎ)った。

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