偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚


智史の異動の内示が出た。
経営事業本部にあった情報システム課が独立して「情報システム部」となり、その部長になるのだ。

それに伴い、マーチャン(M)ダイザー(D)課も大きく様変わりするようだ。
MD課長の魚住が文具部門のプライベート( P)ブランド(B)事業部長に昇格し、MD課サブリーダーだった石井が新課長兼チームリーダーとなる。

当然、青山チームは解散し、そのあとは石井の新チームに引き継がれる。
麻琴と山口が魚住課長に呼び出されて「次」の希望先を尋ねられたらしい。
自然と、業務内容が「残務整理」のようになっていく。

稍はせっかく慣れてきたところだったのに、と思ったが、新しい「目標」ができたのだ。
仕事に余裕ができると、家に帰ってから資格の勉強をしやすくなった。

新しい部署の仕事が入ってきた智史は、帰ってくるのが深夜近くになるため、絶対に食べないと言っていたくせに、稍がつくる夜食はなぜか食べる。だから、手軽にできるわりには野菜たっぷりの胃にやさしい小鍋を用意するようにした。
最近はイタリアン風や中華風の出汁(だし)も売っているから、飽きがこなくて便利だった。


智史は約束どおり、稍がわからない箇所を丁寧に教えてくれた。学生時代、家庭教師と塾講師のバイトをしていたそうで、教え方が上手(うま)い。

もしかしたら、十月以降も「教えてほしい」と乞えば、智史は時間の許す範囲で教えてくれるかもしれない。もし無理なら、やっぱり学校に通うしかない。

それに、MD課は石井が課長になるのだ。
智史は部署を離れることだし、頼めばステーショナリーネットにしばらくは残れるかもしれない。

嘱託は待遇面で「おいしい」仕事だったし、稍は「人妻」ということで、証券会社時代にはしょっちゅうあった男性社員からの「吞みに行こうよ」なんてめんどくさい誘いもないし、ここは働きやすい環境になっていた。


また、どういうわけだか稍は知らないが、「鉄仮面の青山リーダー」が社内の愛妻家ランキングで魚住課長と首位を争っているという。

麻琴に連れられて初めて社食に行ったとき、なぜか周りからのものすごい視線を感じたのだが、稍は気のせいだろう、と思った。

< 500 / 606 >

この作品をシェア

pagetop