偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
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今日も長い一日だった。

定時になったので、派遣の稍は晴れて放免となったが、青山からの仕事は到底終えることができなかった。(山口の前では褒めているようだったのに、あれから怒涛のダメ出しを喰らったのだ)
残念ながら、明日に持ち越しだ。

初日の昨日は忙しさと慣れてなさとで、思ったように「給水」できなかった稍は、今日は携帯マグを持ってきていた。

前の会社から愛用している、ブルーノとサーモスがコラボしたイニシャルマグだ。
ホーロー風の白地にグレーで「Y」がプリントされている。

稍は会社を出る前に、そのマグを(すす)ぎたくて、普通の会社で言うところの給湯室へ足を向けた。

「給湯室」と言っては(はばか)られるほど、やたらオシャレなスペースだ。白木のカウンターバーにハイスツールまである。まさにカフェだ。

オフィススペースにあるのも含めて、什器はすべて自社製品らしい。さすがオフィス用品メーカーである。
また、オフィス関連だけでなく「ロハスライフ」という生活用品を扱う部門のネットショップも好調だ。

さらに、カップ式の自販機があり、社員の人たちはIDカードをかざせば割引価格で飲める。派遣には無縁の話だが。
しかし、コンディメントバーには緑茶や紅茶のティーバッグとインスタントのコーヒーがあり、それはだれでも無料だ。

マグの中を濯いだら、紅茶のティーバッグとお湯を入れて持ち帰ろう、と思った。

稍が給湯室の前に立つと、いつもは全開のドアが半分だけ閉まっている。

っていうか、ここにスライドドアがあったことすら、初めて知った。


すると……中から声が聞こえてきた。

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