偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

ところが、麻琴がお昼前、急にロハスライフのフロアに呼ばれてしまった。

「ややちゃん、ごめんね」と言う麻琴に、「大丈夫、お仕事がんばって!」と稍はエールを送る。

ロハスライフのチームリーダーの座がかかっているのだ。

智史はすでに石井と外へ食べに行ってしまっていた。出かける際に『稍、石井が知ってる隠れ家的イタリアンのランチを食うてくるわ』とイヤミったらしく耳元で(ささや)いていた。

『どうぞ』と平然と送り出したが、心の中では「野郎二人でとっとと行きさらせっ」と思っていた。


仕方がないので、一人で社食へ行く。
ここは、それぞれが好きなおかずを取るスタイルだ。

稍はメインを鶏の唐揚げにして、あとは冷やしトマトのサラダと空豆のごはんとお味噌汁にした。
なんと社割で四百円なのだ。「嘱託」になってよかった、と思うひとときだ。

ちょうど海に面した窓辺のカウンター席が空いていたので座る。ツイていた。

唐揚げを頬張っていると「隣、いいですか?」と声をかけられる。

ふと見ると、満面の笑みを(たた)えた山口がいた。

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