偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「……ややさん、(よこしま)な気持ちであなたを誘ったのではないことをわかってほしい」

山口が真剣な表情で話す。

「初めてあなたを会社の創立記念パーティで見たとき……この人だ、って思ったんです」

……「初めて」は四月の初めの初出社のとき、なんだけどなぁ。

「ややさん、青山さんと別れて、おれと一緒に大阪についてきてくれませんか?」

……はぁ⁉︎

「あんな鉄仮面で朴念仁な青山さんより、ずっとおれの方があなたを楽しませられるし、幸せにすることができると思うんです」

……どっから出てくるその自信?
この人、今までにフラれたこととかないんだわ。

彼は会社でダントツ一位のイケメン独身男子だという。きっと、学生時代もモテモテだったんだろう。

「で…でも、山口さんはあたしのことなにも知らないじゃないですか?」

「青山さんから邪魔されてますからね」

山口は首を(すく)めた。

「……だけど、あなたのことはずっと見てましたよ。毎日、見れば見るほど、あなたのことをどんどん好きになっていきました」

……中高生じゃあるまいし。
見てるだけで、あたしのなにが(わか)るというのだろう?

「あたし、あなたよりも六歳ほど歳上なんですけど、知ってます?」

「歳のこと、気にしてくれているんですか?
……うれしいな」

山口はパッと明るい顔になった。

「そんなの、女性の方が平均寿命が長いからちょうどいいじゃないですか?」

……いやいやいや、
あなた、あたしの歳すら知らなかったんじゃん。
なにをわかってるっていうの?

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