偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「智くんはあたしになにも言わんと、いつも勝手すぎるっ!」

稍は(せき)を切ったように話し出した。

「智くんの家に呼びつけられたらいきなり掃除されられて、挙句に一緒に住むことになったりっ、復讐のための『偽装結婚』やって言われて、GWにいきなり神戸に連れて帰られたりっ、派遣切りやと思ってたのに、会社に連れて行かれたら突然嘱託社員になってたりっ……」

稍の剣幕に、智史はなす(すべ)もなく、目を見開いて固まっている。


「まだあるっ」

稍は息を大きく吸った。

「智くんが社長から期待されてる『本来の仕事』のことも、そのために異動を急かされてることも、なぁんも知らんかったっ。
せやから、この『偽装結婚』は智くんが異動するまでやと思った。
せやから、今度こそ会社におられへんくなると思うて、一人で生きてくために資格取らなあかんなって……」

「稍……悪かった……すまん……ごめん」

我に返った智史が、手を伸ばして稍を引き寄せようとする。


「……所詮、あたしなんかその程度にしか思われてへんってことやんかっ!」

稍は智史の手を振り払った。

「あたしと『偽装結婚』を解消したら、社長に勧められた『御令嬢』とちゃんと正式に結婚するんや、って思ったら……悲しくってつらくって……」

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