君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「私が、母親に似てたら…すぐに染めてたと思うよ」
…え?
「私、あの人大嫌いだから」
俯いてそう言った逢の顔が、黒い髪に隠れて見えなくて。
『なーくんが、別れたいなら…』
あの日を思い出した。
いつも、大事な時に君の顔は見えない。
なぁ逢、こっち向いてよ。
母親のことを“あの人”と呼んだ逢が、“大嫌い”だと言った逢が。
どんな顔をしているのか、わからなくて。
俺はまだ逢のことを知れなくて。