君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「……逢…、逢っ…あ、う…っ」
どこもかしこも、痛みは吹っ飛んで感じないけれど、体は正直で思うように動いてくれない。
それでも必死に、彼女の元へ駆け寄る。
俺に掛けられる周りの声も何も、耳からすり抜けていく。
背中を彼女に突き飛ばされて酷く傷の付いた俺を、心配している声なんだろう。
俺は、いいから。
そいつを、その子を助けてくれよ。
道路の真ん中に、倒れて動かないその子は、さっきまで、抱きしめていた子だ。
「………な、ち…」
必死に俺に腕を伸ばして、そばに座り込んだ俺の袖を弱い力で握る。
「……那知…、ぎゅ、て……し、て」
消えそうな声だった。
もう、消えてしまいそうな。
喉が熱くて、暗い空から雪が、俺たちに降る。