輪廻ノ空-新選組異聞-
第五章 混線模様

所帯




九月に入ると、ぐっと涼しさが増して、朝晩の冷え込みには晩秋なんだと冷えた手をさすりながら実感する。

なんだか寒々しいのは…気候のせいだけじゃないけど。

「近藤先生達、今どこらへんでしょうね」

沖田さんの室の前の濡れ縁に腰掛けて、隣に同じように座る沖田さんに聞いた。

「駕篭での急ぎ旅だと言ってましたから…明日には江戸に着くと思いますよ」

「えっ!そんなに早く着くんですね。何ヶ月も歩くのかと思ってた」

びっくりして思わず言ってた。

新幹線やら飛行機のある現代と違って、江戸時代なんて歩きで行くのが普通で。500キロ以上も離れているのだから、一ヶ月はかかるんだと思ってた。

「普通に歩いても、何ヶ月もかかりませんよ。掛かって半月ですね」

「半月……」

歩き通し…。それは、きつい。

でも、楽しいかも。色んな所を通って、旅行だもんね。



新選組は、池田屋事件の後、急に入隊希望者が増えた。

身分を問わないこと、しっかりとした禄を貰えることになったのもあって、募集をかけたら、沢山集まってきた。

でも、江戸出身の近藤さんとしては、江戸からも集めたいという希望もあって、江戸に下って人材を集めてくるっていうことになったんだ。

「永倉さん達と仲良くやってますかね」

そんな心配が浮かぶ。

なぜかって言うと…

池田屋事件での活躍が認められた新選組は、八月四日に幕府から報奨金を下され、更には、十五日に、将軍いえもち…家茂、様から感謝の手紙…えっと…感状だったかな、それを賜って、余りの栄誉に、近藤先生は男泣きに泣いて。

それぐらい雲の上の方々からのお褒めに、すっかり気を良くしちゃった近藤先生は、ちょっと勘違い入っちゃって、態度がでかくなったんだ。

それまで役職はあっても、みんな仲間だって気さくにやってたのに、急に威張ってみたりするから、永倉さん、原田さん、齋藤さんとかが怒っちゃって、許せねぇ〜って、会津藩に近藤先生がこんなに酷いって、手紙出したりとかして…揉めた。かなり。
< 263 / 297 >

この作品をシェア

pagetop