輪廻ノ空-新選組異聞-

「あなたは…その…どこまで知ってるんでしょうね、私たちのこと」

沖田さんの昨日の言葉が蘇った。
お風呂の番をしてくれていて…
いつになく落ち込んだような…そんな歯切れの悪いような感じでそう聞いてきた。

それに、最後にこう言ったよね。

新選組のために頑張りましょう。
必要な事には情を挟まない。


…………。

沖田さん…

行くんだ。

斬りに。


ガタガタガタ

体が震え出した。

沖田さんが怖いんじゃない。

殺せ、と命じる事が普通にある時代にいるんだって…。

まだバクマツに来てちょっとしか経ってないけど…巡察に出れば斬り合いだってあって…命のやりとりを間接的にだけど見てきた。どんなに現代と違うかって、肌身で感じてきたよ。

でもわたしはまだ…
どこか他人事だったんだ。

年表がカサカサって。
手が震えて…。

ここには…
これからの事が
書いてあるんだ。

読んでいいの?
覚悟は?
気軽に見ちゃだめなんだよ。
ここは凄まじい時代。
知ってもまだ
それを秘めて
生きていける強さは?
私にある?



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