輪廻ノ空-新選組異聞-
第三章 仲間、そして恋と愛

季節

小正月って呼ばれる一月十五日を過ぎると、京では松ノ内が終わって、注連縄(しめなわ)飾りが取り払われて、焚かれて、気分は日常に戻る…。

みたいなのだが…!

三ヶ日過ぎたらすっかり日常だった!巡察に年末年始は関係ないし。

ホッと息をつく間もなく寒い寒い毎日を熱く過ごす。

剣術、巡察、の繰り返し。

一度刀を抜くと、それまで全然縁遠かった斬り合いなのに、縁づいてしまったみたいで、もう何回斬ったか…。

でも、大丈夫。
わたしはこの世界で生きてく覚悟が据わった。試衛館のみんなに女だと知られてどうなるかと思ったけど、道場でも今までと変わらない。

ひとりの人間として認めて貰えてるんだって、仲間に入れたんだって実感する。

衆道ネタは凄くウザい…鬱陶しいけどね。

伊木さんには警戒出来るようになった分、心の準備があるから、いつでも逃げられる!しかもわたしは仲が良い分、怪しいところがないか見張れるんだ。

武田さんは意中の隊士がいて、わたしには関心がないみたいだと判明。

目まぐるしい日常だけど、生きてる気がする、とても。


ジョシコーセーしていて、友達とワイワイ遊びまくって、お稽古もして、の忙しい毎日を過ごしてた時は、時間の流れとか季節なんて余り感じてなくて。衣更えの時に、実際のカレンダーと気候が合ってなくて、「気候、なんかヤバくね?」なんて言う時ぐらいしか意識してなかった。

でも、こっちでは、季節がしっかり移ろって…正月とかそういう行事はあっと言う間だけど気温とお花とかの季節感が、着るものから履き物、刀の具合、木の床の温度や感触、お寺の鐘の音の響き具合で分かるんだ。

気付けることにも感動。
ちゃんとこの時代の仲間になれてるなって。
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