輪廻ノ空-新選組異聞-
「二日間、休日をやろう」

ほぼ全ての準備が完了したと伝えに行った副長室で、土方さんは唐突に言った。

「……え?」

今まで休日らしい休日がなかったもんだら、「休日」という単語を理解するまでえらく時間がかかった。

「好きに過ごすと良い。悔いが残らんようにな」

言われて…。
命がけの任務の前の…最後になるかも知れない自由時間を貰ったんだとわかった。

「まぁ、おめぇが死ぬ玉だとは思ってねぇがな」

時を百単位で遡って来やがるんだからな、と笑って。

「もしかしたら…死にそうになれば元の時に戻れるんではねぇかと、総司や近藤さんと話していた」

「元の時…」

すっかり考えなくなってた。

でも…

「多分そうはならないと…」

こちらに来た時も、ただ転んだ拍子でしたから…と言ったら、「そうか」と、土方さんは腕組みをして。

「だかな、俺の勘は当たる」

おめぇは大丈夫さ。と力強くいった。

思わず笑いが漏れた。

「ありがとうございます、土方さん。百人力です」

満面の笑みを向けて、着物の袂をまくりあげ、力こぶを作ってみせた。

「では、お言葉に甘えて休日しっかり休ませて頂きますね!」

わたしは言って、一礼すると土方さんの室を出た。

二日間…。
何をしよう。
沖田さん…。
一番隊の巡察は、今日のお昼の後どうなってたっけ。

まだ太陽は中天には来てなくて。正午から巡察だけど、一刻(2時間)もすれば戻って来る。今日の剣術師範は齋藤さんだし…。

沖田さんに時間、貰えるかな。
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