BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
唇を合わせるだけの、軽いキス。
すぐに温かな感触はなくなって、名残惜しい気持ちで薄っすら瞼を押し上げる。
すると、祥真の顔が瞳に映し出される前に、もう一度短いキスを落とされた。
心臓がドキドキと跳ね回り、耳まで真っ赤になる。なかなか視線を上げられない間も、着信音は続いている。
とうとう祥真はポケットから携帯を取り出し、ディスプレイを見た。
僅かに眉を寄せ、その綺麗な顔に苛立ちを滲ませる。
「明日の予定は?」
それでもまだ着信に応答せず、祥真は月穂に言葉短かに尋ねた。
「え……? 仕事のほかは特に、なにも」
「じゃあ明日の夜、あのカフェで待ってる」
そして、『特になにも予定はない』という月穂の答えを待っていたかのように、言葉尻を重ねる勢いでそう言って、携帯を耳にあてた。
祥真は着信主の声を耳に入れつつ、意識は月穂にあるようで、ジッと視線を向けている。
月穂はおずおずと一度頷くと、祥真はホッとしたように目を細め、携帯を片手に雨音の中を去っていった。
ようやく電子音が途絶えたと思えば、いつしか暗かった空が泣き出していて、静寂な廊下に雨音が響く。
雨はあの日のキスを思い出させる。
そして、今しがたの記憶も追加されるだろう。
月穂はどんよりとした泣き空に反して胸がときめいていた。
自分の唇にそっと触れ、祥真の感触を反芻する。
すぐに温かな感触はなくなって、名残惜しい気持ちで薄っすら瞼を押し上げる。
すると、祥真の顔が瞳に映し出される前に、もう一度短いキスを落とされた。
心臓がドキドキと跳ね回り、耳まで真っ赤になる。なかなか視線を上げられない間も、着信音は続いている。
とうとう祥真はポケットから携帯を取り出し、ディスプレイを見た。
僅かに眉を寄せ、その綺麗な顔に苛立ちを滲ませる。
「明日の予定は?」
それでもまだ着信に応答せず、祥真は月穂に言葉短かに尋ねた。
「え……? 仕事のほかは特に、なにも」
「じゃあ明日の夜、あのカフェで待ってる」
そして、『特になにも予定はない』という月穂の答えを待っていたかのように、言葉尻を重ねる勢いでそう言って、携帯を耳にあてた。
祥真は着信主の声を耳に入れつつ、意識は月穂にあるようで、ジッと視線を向けている。
月穂はおずおずと一度頷くと、祥真はホッとしたように目を細め、携帯を片手に雨音の中を去っていった。
ようやく電子音が途絶えたと思えば、いつしか暗かった空が泣き出していて、静寂な廊下に雨音が響く。
雨はあの日のキスを思い出させる。
そして、今しがたの記憶も追加されるだろう。
月穂はどんよりとした泣き空に反して胸がときめいていた。
自分の唇にそっと触れ、祥真の感触を反芻する。