BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
花田に挨拶をした足でロッカールームへ急ぐと、いそいそと白衣をロッカーに押し込んだ。代わりにロッカーから出したのは、カバンと紙袋。

 紙袋の中身は、以前借りた祥真の部屋着が入っている。

(今日忘れずに返さなきゃ)

 UAL社では祥真といつ会えるかわからないからと、持っていくのを躊躇っていた。
 そうかといって、約束を取り付けるにも連絡先を知らないままだったから、今日まで手元に置いたままだった。

 月穂は軽快な足音を奏で、病院をあとにする。
 その際、腕時計に目を落とすと、短針はもうすぐ七に届きそうだ。

 祥真に連れていってもらったカフェを思い返す。
 あのとき、営業時間は八時までだと祥真が言っていた。

 ギリギリ間に合うだろう。

 歩調を緩めずに駅へ向かっていると、カバンの中から携帯の着信音が聞こえてきた。

 月穂は立ち止まらずに、右手でカバンを探ると、すぐに携帯の感触を捉え、携帯を取り出した。ディスプレイに目を落とすと同時に、思わず足を止めてしまった。

【花田さん】との表示を凝視し、いったいなんだろうかと首を捻って画面に指を滑らせた。
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