誠の華−ユウガオ−
「分かりました。もう無茶はしません」
そう言うと少しつり上がっていた眉が僅かに下がった。
私の手を優しく撫でる総司の手も心なしか柔らかくなった気がする。
「それじゃあ二つ目。その腫れた目は何?」
さすがに一、二回顔を洗っただけでは腫れは引かなかったか。
「泣きました。今日もたくさんの人が亡くなった上に私達は大坂城へ撤退を余儀なくされた。刀は新しい時代に通用しないことを見せつけられたの。私たちが信じていたものが打ち壊されたの」
目の前で命を落としていった仲間達や新政府軍から受けた屈辱を思い出し再び瞼に涙が浮かぶ。
「そっか、辛かったね。よく頑張ったよ雪は。僕の代わりに随分重いものを背負わせたよね。ありがとう」
私の頭を抱き寄せながら言う総司の言葉に我慢できずに涙が溢れてしまった。
ごめんなさい総司。
あなたの大切な部下をたくさん死なせてしまいました。
沖田総司だったら、もっと敵を斬り伏せたかもしれない。
沖田総司がいてくれたら、戦況はもっと変わっていたかもしれない。
例え負けたとしても撤退をもっと先延ばしに出来たかもしれない。