誠の華−ユウガオ−
好いた女を恋敵の元へ送り出したと言うのに不思議と気持ちは穏やかだった。
一人になりふと考える。
剣においても女においても唯一己が勝てなかった総司が労咳……。
何かの間違いではないのか。
そう思いたいが暫く体調が優れなかった総司の姿が浮かび胸に鈍い痛みが襲った。
労咳の治療法は存在しない。
何故あいつだったんだ。
何故いつもあいつだけが辛い思いをしなければならないんだ。
「はじめくーーーーーーーんっっっ!!!」
血が滲むほど拳を強く握りしめていると自分を呼ぶ声がした。
振り返ると三条大橋の上から大きく手を振る平助がいた。