サトラレル
出張中のあずみんは、私が会社を辞めた事にいつ気がつくだろうか。


あの手紙を見るのはいつになるのかな。


驚かせちゃうよね。


悲しませちゃうよね。


それとも……やっぱりね……って思われたりして。


急に退職をするなんて、普通は常識が無いと怒られても仕方がないだろうけど、事情が筒抜けなせいもあって、誰も私を責める人はいなかった。


あずみんのマンションに住まわせてもらった数ヶ月の間、荷物は段ボールの中に、洋服は皺になるもの以外はキャリーバッグの中に入れっぱなしだった。


それをあずみんが出張へと発った昨日、全部地元へと送った。


最後まであずみんは、私を残して行く事を心配していたけれど、「大丈夫だって!」と明るく笑って送り出した。



私は、本当に最低な逃げ方をしていると思う。



昨日はビジネスホテルに泊まって今朝早く、新幹線へ飛び乗って地元へと戻って来た。



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