サトラレル
「あらっ、気がつきました?……あらあら、大丈夫ですか?苦しくない?」
今度は耳元で声が聞こえて、苦しさから丸まってしまった私の背中を撫でる手の感触がした。
穏やかな、優しい声だった。
きっと掌だって、私の身体を気遣いながら撫でてくれているはずだ。
だけど、私を優しく撫でてくれているはずのその掌の感触に何故かゾクリとした寒気を覚えて、気がついたらガバッと身体を起こして、「やめて!」と叫びながら、その手を振り払っていたーー
ーーはずだったのだ。
だけど、実際に動いたのは身体だけで、私が声を振り絞って叫んだその声は、その人の耳には届かなかった。
『や』『め』『て』
私の声は一言ずつの文字になり、私が寝かされていた病室のベッドの上をふわふわと漂っていた。
……そして、
突然、目の前に現れた白猫が両手キャッチでその文字を掴み取り、いきなりムシャムシャと食べ出した。
そう。
にわかには信じがたい現象が目の前で起こり、私の叫び声は跡形もなく消えてしまったのだ。
今度は耳元で声が聞こえて、苦しさから丸まってしまった私の背中を撫でる手の感触がした。
穏やかな、優しい声だった。
きっと掌だって、私の身体を気遣いながら撫でてくれているはずだ。
だけど、私を優しく撫でてくれているはずのその掌の感触に何故かゾクリとした寒気を覚えて、気がついたらガバッと身体を起こして、「やめて!」と叫びながら、その手を振り払っていたーー
ーーはずだったのだ。
だけど、実際に動いたのは身体だけで、私が声を振り絞って叫んだその声は、その人の耳には届かなかった。
『や』『め』『て』
私の声は一言ずつの文字になり、私が寝かされていた病室のベッドの上をふわふわと漂っていた。
……そして、
突然、目の前に現れた白猫が両手キャッチでその文字を掴み取り、いきなりムシャムシャと食べ出した。
そう。
にわかには信じがたい現象が目の前で起こり、私の叫び声は跡形もなく消えてしまったのだ。