わたしはあなたにときめいてます
「堀尾さん。すいませんが、教えた家まで送ってもらえますか」

「分かりました」

「ありがとう……。香澄……」

ドクン。

「お礼を言うのは、わたしの方です。ありがとうございます。堀尾さん」

「はい……」

「香澄……。俺には……」

「どうして愛十さんにお礼を言う必要があるんですか」

「どうしてって……。俺が香澄を離さなかったから……。
車で送ってもらえるんだろ……?」

「堀尾さんが一緒に来るようにわたしに頼んでくれたからです」

「俺が引きとめたから、やつ……目的地まで車で送ってもらう事に、したんだろ……?」

「わたしが駅前で降りたら、あなたも降りるって脅されたからです。そしたら、堀尾さんが困るでしょ」

「脅しって……。俺はただ……」

「愛十さんが車で運転してわたしを送ってないでしょ」

「それは、俺も運転出来るけど…芸能人だし……」

「そうですね」

「……分かったよ……。
お礼は言わなくて……いい…」

「はい」

あなたにお礼は言わない。

わたしの事が心配で離れたくなかったのは分かるけど、堀尾さんに迷惑かけてるし、仕事にギリギリだから、絶対に言ってあげない!!!

『ダメだ……!!
送る……』

『仕事も大事だ……。
でも…君も大事なんだ……』

『目的地まで無事に送りたいんだ……。
送らせてくれ……』

でも、その気持ちは嬉しいから心の中では言ってあげる。

ありがとう……。


愛十……。
< 54 / 61 >

この作品をシェア

pagetop