婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「瑠璃ちゃんは、玲人のことをもっと知るべきだ」

真摯な眼差しで言われ、それ以上何も言えなくなった。

祈るような思いで秘書室の様子をそっと覗けば、玲人君がゆっくりと口を開く。

運命の瞬間だ。

「どうして俺なの?」

玲人君は佐藤さんをじっと見ている。

「どうしてって……副社長が好きだからです」

彼女は言葉に詰まりながらも、彼に自分の想いを伝える。

「気持ちは嬉しいけど、俺には彼女しかいないし、他の誰とも付き合う気はないよ」

「栗田さんはただの婚約者ですよね?だったら……私のこと好きになってくれませんか?」

佐藤さんは玲人君の腕を掴み、必死に食い下がる。

本当に彼のことが好きなんだ。

玲人君は大学生の時からここで働いているし、佐藤さんはずっと秘書室で働いている。

格好いい彼をいつも近くで見たら、好きになるのは当然だ。
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