婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「軽くてよかった。栗田さん、気づいてやれなくてごめんね」

小鳥遊さんは私に謝るが、彼は何も悪くない。

「いえ、私がそそっかしいのが悪いんです。こんなの火傷のうちにはいらないし」

ハハッと笑ってみせるが、目の前にいる玲人君にキッと睨まれた。

「火傷を甘くみるな。小鳥遊さん、手当てが終わったらもうこいつ連れて帰るんで、後よろしくお願いします」

「へーい、お疲れさん。栗田さん、ゆっくり休んでね」

小鳥遊さんは穏やかな笑顔で手を振ると、副社長室を出て行く。

途端、気まずい雰囲気が漂って……。

小鳥遊さんがいなくなって急に不安になった。

今日の仕事のことで玲人君にいろいろお説教されそう。

早くここから逃げ出したい〜!

そんな私とは対照的に、いつもと変わらぬ平然とした様子で救急箱を開け、軟膏を取り出す玲人君。
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