婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「あっ、私が塗るから」

手を差し出すが、彼は薬を渡してくれない。

「瑠璃は、こういうの面倒がってちゃんとやらないから」

決めつけるように言われ、思わず強く否定した。

「そんなことないよ!」

「火傷したことにも気づいてなかったくせに、よく言うよ」

玲人君は私の手に軟膏を塗りながらチクリと毒を吐く。

「うっ……」

それ以上反論出来ず黙り込む私。

ホント、彼は私には容赦ない。

でも、その手当てする手はとても優しくて、ドキッとした。

私達は恋人同士なんじゃないかと勘違いしそうになる。

……ああ、もう、こんなの精神衛生上よくない。

彼にこんなに近づくのは危険だ。

近くで彼が仕事しているところを眺められるって思ってたんだけど、こんなに接近するなんて……。

早くも彼と同じ会社に就職したことを後悔した。

ドキドキして胸が大きく上下する。
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