婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「実は瑠璃のご両親には口止めされていたんだけど、おじさんが階段から落ちて足首を骨折してね。今病院に入院しているんだ。おばさんは毎日通うのが大変とかで近くのホテルに泊まっているらしい」

骨折!

「お父さん、大丈夫なの?」

ビックリして思わずガシッと玲人君の腕を掴めば、彼は私を安心させるように優しい目をして微笑んだ。

「まだあともう少し入院が必要だけど、リハビリしたらちゃんと歩けるようになるそうだよ」

「……よ、良かったあ。お母さん、私にちゃんと言ってくれればよかったのに」

この場にいない母に恨み言を言うと、玲人君は私をなだめた。

「瑠璃がすごく心配するから言えなかったんだよ。まあ、命に関わる病気じゃないから俺も言わなかったけど」

父の骨折のことを知っていれば、拓海さんの話を鵜呑みにすることはなかったかもしれない。
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